踏切の幽霊

踏切の幽霊アイキャッチ

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タイトルからして怖いイメージですね。

ブログ用の写真も自分で撮ろうとしましたが何かが写ったら怖いので写真を撮るのを止めました。(笑)

こちらの作品は高野和明さんの著書になります。高野和明さんといえば、「ジェノサイド」や「13階段」などでも有名ですよね。この「踏切の幽霊」はジャンルとしてはホラーになってしまうのかもしれませんが、社会派小説といった方が良いかもしれません。

2023年上半期の直木賞候補作にも選ばれています。

久々の高野さんの作品ということでこの本を手に取ってみました。表紙も心霊写真のようで目を引きつけられました。

マスコミには決して書けないことがある――

都会の片隅にある踏切で撮影された、一枚の心霊写真。
同じ踏切では、列車の非常停止が相次いでいた。
雑誌記者の松田は、読者からの投稿をもとに心霊ネタの取材に乗り出すが、
やがて彼の調査は幽霊事件にまつわる思わぬ真実に辿り着く。

1994年冬、東京・下北沢で起こった怪異の全貌を描き、
読む者に慄くような感動をもたらす幽霊小説の決定版!

文藝春秋ホームページより(https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916330)
目次

どんなストーリーか

新聞記者の取材

舞台は1994年です。懐かしい時代ですね。携帯電話も今ほどは普及しておらず固定電話を使用する場面が印象的でした。

主人公は松田という新聞記者の男です。過去に最愛の妻を亡くしており、悲しみと後悔にくれた日々を過ごしています。そんな中で心霊記事を書くよう勧められます。これまで心霊関係に縁のなかった松田ですがとある踏切で撮られた心霊記事の調査を行っていきます。

心霊写真が登場するのでホラー小説かと思って読んでいましたが話はホラーというよりはミステリー感が強まっていきます。

その踏切では過去に事故が起きており、その事故で亡くなった女性と心霊写真が結びついていきます。しかしその女性は身元不明で誰だかわかりません。なぜ女性は亡くなったのかそして心霊写真との関係は?

調査は様々な場所までおよび…そして真相へという感じです。松田と一緒に事件を追及する登場人物たちも味がある人物ばかりで魅力的でした。

事件の調査の過程と妻を亡くした松田の心情が、読んでいて辛辣な気持ちになっていきます。

この小説の謎の部分です。私が小説を読む際に一番好きな部分です。手がかりがほとんどない中で何とか真相にたどり着きます。普段なら謎がゆっくりと紐解かれていく感じが何とも心地いいのですがこの小説では一味違います。

女性の正体

この書籍の最大の謎は身元不明の女性の正体です。誰に聞いてもわかりません。顔は知っていても名前や出身等が全然分からないんです。一体この女性は何者なのでしょう。真相にたどり着くまでの道程も見どころの一つです。

1時3分の電話

松田の家の固定電話に深夜1時3分にかかってくる電話。この電話の正体はだれなのか。そしてなぜ毎回1時3分に電話がかかってくるのか。ゾクッとしながらも怖いもの見たさで電話に出てしまう松田。私ならそんな時間がかかってきたらまず出ません。(笑)

黒電話

感想

ホラー小説というよりは事件の真相を追う新聞記者の社会派ドラマです。松田の心情に引きつけられます。いろんな人に聞き込みを行い、事件の真相に迫っていく感じは刑事ドラマを見ているようで読み入ってしまいます。そしてこの身元不明女性にも心が奪われていきます。どうしてそんなことになってしまったのか。どういう気持ちでここまで生きてきたのか、重厚感のあるストーリーが展開されていきます。

単なる幽霊ストーリーではありません。読後の余韻で考えさせられる内容でした。切なさを感じつつも魅力のあるストーリー展開も読む手が止まりませんでした。

怖い部分はあまりありませんが会社帰りの夜に電車の中で読むとやっぱりちょっと怖いです。

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